イントラネット上でストリーミングをビジネス利用する方法
2.ストリーミングに求められる要件と対策
ここでは個々の求められる要件ももう少し詳しく説明しましょう。
■要件1:可能な限り高解像度の映像を、途切れることなく視聴できるシステム
<対策> アダプティブ・ビットレート(ABR)の利用
ABRは、視聴者の通信環境に応じて自動的にコンテンツの品質・サイズを変更することができる配信方式です。視聴端末ごとにその端末の回線スピートをリアルタイムに把握し、自動的にその回線にあった配信スピードに切り替えてくれます。
限られたインフラ設備の中で“可能な限り高解像度の映像を、途切れることなく視聴できるシステム”にする為にはABRは必須の機能といえます。

■要件2:他のシステムの稼働を妨げないシステム
<対策> リピータ機能とマルチキャストの利用
リピータ機能とは、配信側に親のStreaming Engine、遠隔地のLANに子のStreaming Engine を配置し、遠隔地のLANから100人が視聴しても、親のStreaming Engine と子のStreaming Engine のトラフィックは一人分のトラフィックだけが流れるようにする機能です。
マルチキャストとは、LAN内に設置されたルータのマルチキャスト機能を使って、同じルータにつながった端末と上位のルータの間のトラフィックは一人分のトラフィックだけが流れるようにする機能です。
一見同じ様に見える機能ですが、“イントラネットで他のシステムの稼働を妨げないシステム”にするには、NW設備の状況に左右されずに設備の効率的な利用をプロアクティブにコントロールする必要があります。そのためにはリピータ機能が求められるのです。

■要件3:社内のPC環境にあった配信ができるシステム
<対策> マルチスクリーン
より多くの端末、ブラウザで視聴できる様、さまざまな動画フォーマット、音声フォーマット、プロトコルに対応する事が必要です。
企業の場合、社内のシステム管理のためにIEの古いバージョンが社内標準となっている場合があり、Flashで再生する“RTMP”と、HTTP系のプロトコル(HLS、mpegDASH)の両方で配信する事が必要となります。その為に、古い規格にも対応したものでなければならないのです。

■要件4:稼働後でも配信設備の増強が可能なシステム
<対策> 拡張性の高いシステム
映像の社内利用が増えている現在、「導入時は見る人もすくなくミニマム構成で導入したが1年後には、動画利用が大幅に増え、冗長構成をとる必要がでた」といった事が起きる可能性が高くなっています。
その為には、Origin-Edgeの階層構造、Back upサーバ、Load Balance、集中管理といった機能が必須となってきますが、「ミニマム構成で導入したのでまた一から作り直さなければならない」となると折角の投資や構築の労力が無駄になってしまいます。
ここでもう一度社内におけるストリーミングの設備を考えてみましょう。
イントラネットでのストリーミングは「既存の社内インフラを生かす事が前提の追加のインフラ」です。つまり稼働後でもニーズの高まりにあわせて変わっていかなければならないインフラなのです。
その為には“設備の増強が可能なシステムである事”が必要不可欠であるといえます。


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